Archive for the ‘歴史’


『世界を変えた、ちょっと難しい20の哲学』 フランソワ・ダゴニェ著、宇波彰訳 PHP研究所 200610.01.08

ちょっとしたお手伝いのお礼にJR西日本の株主優待券をいただいたので旅ろうかと思う、
まろまろ@西日本のまろみあんのみなさんよろしくお願いします(^^)v

さて、『世界を変えた、ちょっと難しい20の哲学』 フランソワ・ダゴニェ著、宇波彰訳 PHP研究所 2006

現代フランス哲学を代表する著者による西洋哲学史。
哲学者たちを時系列で並べていく一般的な哲学史のスタイルを批判して、哲学の「流れ」ではなく「断絶」の方に注目して哲学史をまとめた一冊。
原題は”Les Grands Philosophes et leur philosophie : Une histoire mouvemente’e et belliqueuse, Empe^cheurs de Penser En Rond” (2003)。
直訳すると「偉大な哲学者達と彼らの哲学」という感じ。

この本の中で著者は、哲学で最も重要な役割はこれまでの哲学を否定して新しい哲学を打ち立てることであるので、
百科全書的な哲学史ではその哲学の持つ本当の意味を理解することはできないと主張している。
そこで新規性と革新性を明らかにするために、哲学の連続性では無く、断絶に注目して哲学史を解説している。

読んでみると、著者の意図通り哲学の歴史に名前を残した哲学者たちが先行者をいかに批判・否定していったかがよくわかるようになっている。
ただし、この内容をタイトル通り「ちょっと難しい」と感じるのか、「だいぶ難しい」感じるかは個人差が大きいと感じた(w

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・・

○哲学者たちがプラトン、デカルト、カントに近づく理由
=精神だけに組織する力があり、実存はかたちが無くてどの方向にも折れ曲がる劣ったもの、
という考え方を広めるキャンペーンに参加したから
<はじめに>

○プラトンの主要な論点=話されることばが交換を生み出し、関係を作る
→話しことばが録音され伝達できるコミュニケーション技術の発達によりプラトンのテクストは再び力を得る
<プラトンー哲学という考え方の基礎をつくる>

○アリストテレス哲学の根幹=根幹質料形相論=材料にかたちを与えて存在ができるという考え方
→実存する実態の別名
→イデア(決定因)は質料に刻み込まれる
<アリストテレスー大切なのは幸福になること>

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2008 10/1
哲学史
まろまろヒット率3

Posted in まろまろヒット率★★★☆☆, 哲学・思想, 歴史, 読書日記with No Comments →

『歴史とは何か』 E.H.カー著、清水幾太郎訳 岩波書店 196206.24.08

距離の単位系を説明する時にEminemの“8 mile”を例に出して解説することが多い、
まろまろ@メートル換算すると実はかなりの距離(12.87km)と分かった時の元も子もない反応が痛くて気に入っています(w

さて、『歴史とは何か』E.H.カー著、清水幾太郎訳(岩波書店)1962。

ロシア革命史の研究で知られる歴史家、E.H.カーによる歴史の概要書。
歴史という対象の特徴と、それにアプローチする歴史学の方法論を述べた一冊。
原題は“What is History?” (1961)。
実はこれまで必要に応じて何度も部分読みをしていた本ではあるけれど、
特命係長プレイの合間に初めて通読したので、今回めでたく読書日記化。

内容は、歴史とは事実なのか、それとも解釈なのか?
歴史では社会(状況)と、個人(人物)のどちらが優先するか?
歴史は特殊事例の集まりでしかないのか、それとも一般化は可能なのか?
・・・などの歴史への問いかけに対して、それぞれ一方だけの立場を極論だと退けて、どれがも密接な相互関係にあることを述べている。

たとえば、歴史は事実なのか、解釈なのかという問いに対しては・・・・
「歴史家は事実の慎ましい奴隷でもなく、その暴虐な主人でもない」として、
「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」
・・・と結論づけている。
(1 歴史家と事実)

両極端な意見にそれぞれ反論を加えて、中庸な立場を採用しているのが著者の終始一貫したスタンス。
ただ、それだけに上記のように結論が一言で言えないものばかりで、よく読解しないといけないものになっている。
この点、理系の人、特に実験などの実証的手法を取る人の中で、
「文系の人の話は何も問いに答えてない」と指摘する人をたまに見かけることがあるけれど、
そういう人がこの本を読んでも同じように感じるんだろうかとふと思った。

刑事裁判の手続がそうスパっといかないように、過去の出来事という対象にアプローチするのは、
そう簡単な話ではないということを理論立てて説明してくれているので、
同じような特徴(再現性無し、追試不可能、一般化が簡単では無いなど)を持つ研究対象へのアプローチの参考にもなる本でもある。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

○正確は義務であって、美徳ではない
→仕事の必要条件であって本質的な機能ではない
<1 歴史家と事実>

☆歴史=歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話
→歴史家は事実の慎ましい奴隷でもなく、その暴虐な主人でもない
<1 歴史家と事実>

○事実と解釈とを引き離すことが出来ないのと同じように、特殊的なものと一般的なものとを区別することは出来ない
→一方を他方の上に置くことも出来ない
<2 歴史と科学と道徳>

○歴史の機能は、過去と現在との相互関係を通して両者を更に深く理解させようとする点にある
<2 歴史と科学と道徳>

○歴史は運動であり、運動は比較を含む
→道徳的判断には「善悪」ではなく「進歩と反動」という比較的性質の言葉を用いる
<2 歴史と科学と道徳>

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2008 6/24
歴史、学問一般
まろまろヒット率4

Posted in まろまろヒット率★★★★☆, 学問一般, 歴史, 読書日記with No Comments →

『翔ぶが如く』 司馬遼太郎著 文藝春秋 全十巻 2002(新装版)06.06.08

最近、「アクティヴな引きこもり」の新しい類似語として「ワーカホリック気味なニート」を使う機会の多い、まろまろです。

さて、『翔ぶが如く』司馬遼太郎著(文藝春秋)全十巻2002(新装版)。

明治維新によって近代日本がスタートした明治時代初めを舞台に、征韓論から西南戦争までをえがく長編歴史小説。
実はこの本は、これまで何度か途中で挫折した作品でもある。
その最大の原因は、文庫本にして全十巻という長さではなく、この作品の読みにさにある。

小説と言っても物語のあらすじより評論的な部分が多い上に、肝心の物語の方も行ったり来たりしてなかなか進まない。
「以下、余談ながら・・・」という著者の脱線は、他の作品では真骨頂のような説得力や力強さがあるのに、この作品ではダラダラと要領を得ないと感じられるところが多い。
「翔ぶがごとく」という躍動感のあるタイトルとは逆に、「翔ばないがごとく」という感じ(w

なぜそうなってしまったのか?
それは著者自身が何度も書いているように、著者が西郷隆盛を理解できなかったからだ。
かつては政略家だったはずの西郷隆盛が、なぜ征韓論から西南戦争にかけては根回しも戦略も放棄したかのようなスタイルになったのか。
著者はこの点が理解できず、主役に対する理解の自信の無さが長々とした評論になってしまっている。

この点、僕が今回通読できたのは、一つには西郷隆盛の気持ちがなんとなく感じられるようになったからだ。
政略・戦略とは、平たく言えば、自分はできるだけ安全な場所にいて相手を危険な場所に追い込む、というものだ。
「感情量の多い」(著者の表現)人間は、たとえ政略・戦略の能力があったとしても、時に公の場で矢面に立って、正々堂々と進むことを選ぶことがある。
物分かりの良さや、バランス感覚、割り切りなどでは何かを生み出していくことはできないし、したり顔の人間が人の心を動かすことはありえないからだ。

たとえば、僕はかつての恩師から「お前は伊藤博文のようだな」と言われる機会が何度かあった。
確かにこの作品に出てくる伊藤博文のちょこまかしいところは、どこか通じるところがあるかもしれない(w
でも、そんな伊藤博文でさえ、政略・戦略を捨てて、組織を抜け一歩踏み出したことがあった。
(長州クーデター)
そのことが、少し軽薄な伊藤博文が単なる裏技・寝技師だけでない証拠となった。
政略・戦略の必要条件である理解力や透徹とは逆の、聞き分けの悪さや頑固さが矢面に立って進む上では必要になる。

著者はこの機微が理解できずに、長々とした評論的な文章になってしまっている。
著者自身も書いているように、それは矢面に立って(リスクを取って)進んだ経験がないということが大きい。
でも、経験が無いので書けない、というのでは歴史小説の意味がない。
この作品の要領を得ない長々とした記述は、著者が作家としての限界を感じたからというのもあったのだろう。

かつて僕は、100年か200年後に自分の人生が歴史小説の題材にされることがあるなら、司馬遼太郎のような作家に書いてほしいと思っていた。
でも、司馬遼太郎のような著者では僕のことを描ききれないのだろう。

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2008 6/6
歴史小説
まろまろヒット率3

Posted in まろまろヒット率★★★☆☆, 小説, 歴史, 読書日記with No Comments →





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